曲がったキュウリを許すことは購入者の大きな利益になる

スーパーで買い物をしていると気がつくことはほとんどありませんが、野菜は工業製品ではありませんので本来はばらつきが大きなものです。
まっすぐにそろったキュウリ。
大きさがきっちり揃っているキャベツや大根。
長さがぴったり揃えられているオクラ。
大きさを揃えたり形を整えたりするのに、農家がどれだけの手間をかけているのかご存知でしょうか。
その手間がもうすこしゆるくなったら、農家がラクになるばかりでなく購入する人にとっても得をするということが理解できるでしょうか。
今回はそういった規格に関する話です。
 

規格とはなにか

たとえばナスは、長さや重さ、そして表面の傷やツヤなどによって規格が分けられます。
ナスの出荷規格
参照:野菜標準全道統一規格(ホクレン発行  平成9年)
業者によって規格が違うので一概にはいえませんが、上記の表ではなんと8種類の規格があります。
そしてこの規格から外れてしまうものも当然あります。

こりゃあ大変だ、で終わらせてしまってはいけません。
規格外の野菜も売れるようにしたらいいんじゃないか、という話でもありません。
この規格に合わせるために、農家がどれだけの手間をかけているのかを知ってほしいんです。
形や大きさを揃えるために、水管理や肥料管理を徹底したり、味を無視した形が揃いやすい品種を採用したり、長さを揃えるために一日に3回収穫をしたり。
規格に合わせて仕分けていく作業もバカにならない手間です。
もちろん必要な栽培管理はやるべきだけど、過剰な管理は
それは誰のためにやってるの?
そこまでやる必要があるの?
と問い詰めたくなるほど徹底しています。
もちろん農家は分かっています、誰のためにやっているのか。
買ってくれる人、もしくは買ってくれる業者のためにです。
食べてくれる人のため、ではありません。
農家が食べてくれる人に対して直接売るというのは一般的には珍しくて、たいていは生産者と消費者のあいだに業者が入ります。
農協などの卸業者がそうです。
スーパーなどの小売店、直売所もそうです。
そういった間に入っている業者が決めた規格に従って農家は出荷をしていきます。
農家にとって商売の相手はこのような業者です。
そして、業者の要望に応えることが農家にとっての利益になります。
 

野菜の陳列
それじゃあ、卸業者の商売の相手はどこかというと小売店です。
小売店の要望に沿うことで利益になります。
小売店(スーパー)の商売の相手は?
そうです、スーパーで野菜を購入する人ですね。
スーパーは、店頭に並べた野菜を買ってもらうために努力をします。
どのような商品を並べたら売れるのかを考えています。
形や大きさなどの見た目が揃っていて、どれを手にとっても違いがないという安心感。
規格をきっちりすることで売っています。
曲がっているキュウリが売れないわけではありませんが、まっすぐなキュウリと曲がったキュウリがあれば同じ価格であればまっすぐなキュウリが売れてしまいますからね。
(曲がった低価格キュウリを流通させることについてはまた別の機会に書くかもしれません)
不特定多数に販売をするという性質上、ばらつきを極力なくすというのはどうしても必要なことなので規格そのものを否定することはできません。
でもちょっと行きすぎてないかい?とは感じますね。

小売店の希望があり、卸業者の都合があり、さらには流通業者の都合があり、それらをすべて叶えるような形で規格が決められていきます。
その規格が農家まで下りてきて、野菜を売るために規格に従う。
規格に従うために、過剰だと思えるほどの手間をかけています。
それは元をたどれば買い手の都合なんだからしょうがない、と割り切ってもいいんでしょうか。
 

農家から買うという特殊性

農家がかける余計な手間をカットして、野菜が健康に育つようにおいしく育つようにたくさん収穫できるように、食べてくれる人にとってプラスになることに時間を使っていく。
このほうがいいと思いませんか?

野菜を買ってくれる人が見た目のばらつきを認めてくれるなら、多少虫食いや傷があっても「まあいいよ」と言ってくれるなら、農家はかけるべき手間を大きく減らすことができます。
オクラの長さがきっちり10cmに揃っていなくてもいいなら、一日3回収穫しなければいけないのを一日1回まとめて収穫することができます。
トマトにヘタがついていないものがあってもいいなら、収穫するスピードがかなり速くなるので労働時間が減ります。
多少の虫食いを認めてくれるなら、農薬をかける回数が5回から3回に減らせるかもしれません。
(農薬使わない農家なのでこれはちょっと明言できない・・・。)
見た目が揃うのを過剰に気にしなくてもいいなら、美味しさを追求した品種を選ぶことができます。

農家が手間を減らせるということは、生産できる面積を増やすことにつながったり、野菜が健康に育つようにおいしく育つように栽培に時間を使えたりします。
規格にしばられないことは、結果的にその野菜を購入する人にとってもプラスになって返ってくるんです。

だから全国の農家よ、立ち上がれ!決起せよ!
規格の撤廃や軽減を求めよ!
ということではありません、決して。
野菜を育てる人と、野菜を買って食べる人との間に、業者が入れば入るほどそれぞれの希望や思惑が重なって、どんどん規格が厳しくなっていきます。
だれが得をするかといえば、間に入っている人たちなわけです。
間にだれも入らない、農家が野菜を食べてくれる人に直接売ることの素晴らしさを分かってほしい。
ただそれを言いたいだけなんです。

そして野菜を買うときには、なるべく規格が厳しくないところから、もしくは農家から直接買うのがいいと思いますよ。

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

農家MOVIES

PAGE TOP