食料自給率の嘘 消費者は気にしなくていい

農水省の統計によると、
日本の食料自給率は約40%
だそうです。
よく目にする数字ですので、ご覧になったという方も多いと思います。
この数字をみてみなさんはどんな印象を受けるでしょうか?
「半分以上を輸入に頼っている!やばい!」
「もし戦争にでもなったら間違いなく飢える!」
「もっと強い農業にしていかないと!」
「もっと国産のものを買い支えないと!」

という危機感をもちますよね。
たしかに40%という数字だけをみると安全保障の面では非常に怖いところはあります。
戦争になったらひとたまりもありません。
でも。
その数字が、誰かの意図で操作されているものだとしたら・・・。
わざと危機感を煽るように提示されている数字だとしたら・・・。
私たちはだまされていることになります。

じゃあ誰が?
なんのために?

ちょっと陰謀論めいた話になってしまうかもしれませんが、いち農家の戯言だと思って最後までお付き合いください。

 

食料自給率とはなにか

まず最初に。
そもそも食料自給率ってなんだ?という話をしていきます。
かんたんにいえば食料を自給できている割合、つまり日本人の食べ物をどれだけ日本国内で生産できているかという割合です。
食料の輸入が多ければ自給率は下がるし、食料を輸出するほど生産していれば自給率は100%を越える。
ということです。

じゃあ。
その計算をしている数字の単位はなにかというと
カロリー
なんです。
食べものが持っている熱量つまりカロリーをベースにしています。
すべての農産物をカロリーに置き換えて、国産農産物のカロリー量と輸入農産物のカロリー量を計算して、国内でまかなえている割合を計算した結果が
40%
という数字なんです。

さてここで。
なぜ国がカロリーベースで食料自給率を計算してるのか疑問を持ちませんか?
野菜や果物のようにカロリーが低い農産物をいくらたくさん生産していても、食料自給率の計算にはそれほど影響を与えないからです。
逆に、カロリーが高い肉の生産が多い国では自給率は高くなる傾向があります。
自給率の計算に偏りがでてしまうんです。
実際、世界のほとんどの国ではカロリーベースでの自給率計算をしていません。
生産額ベースで食料自給率を出しているんです。

食料自給率グラフ
(画像参照:農水省

これで見ると、日本の食料自給率は生産額ベースでは約70%ほどあります。
先進各国にひけをとらない数字です。
もちろん100%ではありませんから、もっと食料自給率を高めないといけないという議論は続きますが、40%ほどの危機感はありませんよね。


国家の策謀

なぜ日本はカロリーベースで発表するんでしょうか。
世界に合わせて生産額ベースで発表すれば70%近くあるのに、なぜ低い数字を広めようとしているのでしょうか。
ここからは陰謀論になりますが、

危機感を煽って政策を打ちやすくするため

ではないかと思います。
農水省が予算を取るためには、弱い農業をアピールしてもっと発展させる必要があることを前面に出したほうが都合がいい。
農家への補助金がもっといるんだと主張して予算を取るためには、日本の農業が危機的状況にあることをアピールしたほうがいい。
ということです。
先進国のなかで最低、という勲章が欲しくて農水省はカロリーベースで試算していると考えるのは暴論でしょうか。
(現在では、農水省のHPにはカロリーベースのほか生産額ベースでの数字も載せています)


ところで。
40%という数字に危機感を覚えるのは、もしかしたら学生時代の記憶が関係しているかもしれません。
100点満点中の40点。
そうです、赤点です。

赤点

40点を切ると赤点と呼ばれ、追試や補習を余儀なくされる恐怖のラインです。
日本人は、赤点ラインである40点に恐怖しています。
40という数字に畏怖を抱いています。
だからこそ農水省は40%にこだわる、というわけです。

 


日本の農業は強い!過剰に支える必要なんてない!

本来は決して弱くないし供給能力もある農業が、自給率40%という赤点ラインに置かれることで弱く見えてしまう。
これは悲しいことです。

実際のところ。
識者の間では、農業はじゅうぶんに強いという意見が多いです。
農業を弱くしているのは国の政策であり法律による規制だという主張も多い。

でも世間の認識は違いますよね。
農業は弱いと思っている。
補助金などで支えてあげなければ農家はやっていけないと考えている。
これはある意味、洗脳なのかもしれません。

はっきり言っておきますが違いますからね。
日本の農業は強いです。
なにしろ日本の農業生産額は約8兆円で世界2位。
れっきとした農業大国なんですよ。


カロリーベースで40%。
生産額ベースで70%。
どちらを信じたらいいのか迷う人もいるかもしれません。
でも迷う必要はありません。

たとえば。
超有名な進学校に在籍している生徒Aさん。
この進学校のなかでは、かなり成績は悪くて校内偏差値は40しかありません。
校内では落ちこぼれに分類されかねない偏差値です。
でも。
全国模試だと一変します。
その学校だけではなく全国のいろんなレベルの高校、いろんな人たちが模試を受けます。
するとAさんの成績は、偏差値は70になりました。
じゃあここで。
このAさんは、校内偏差値が40という低い水準だから特別な支援が必要ですか?
落ちこぼれているから特別な待遇をする必要がありますか?
いらないですよね。
だって全国の高校生という枠のなかでは偏差値70で優秀なんですから。


統計の基準をどこにおくのかによって、数字がもつ意味合いが変わってきます。
じつは食料自給率70%の日本の農業。
支援が必要なのか考えるべきではないでしょうか。

 


みなさんの立場でいえば。
食料自給率が低いから国産のものを買いましょう、なんていう危機感を持つ必要はありません。
もちろん。
肌の色が違うどこの誰かも分からない人がつくった食べものを買うのは怖い、という感情は大切です。
安全性に疑問が残るからできれば国産のものを買いたい。
そういう気持ちも大切です。
でも、食料自給率を気にして国産を選ぶのであればそれは気にしすぎだと言っておきます。
食べる人が気にしなければならないほど、日本の農業は弱くないということを知ってください。

 

 

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