農業界のゆずやコブクロを育ててみませんか?

農家がお届けしている野菜は、毎年少しずつ変わっていきます。
農家自身が毎年同じように栽培しているつもりでも、毎年違った結果が出たりするものです。
その理由はかんたんです。
農家は成長するから。
今年の経験を糧にして来年はもっといいものを。
と、農家はもちろん成長を望み、そのための努力をします。
1年1年を必死にがんばっているだけでも、何年か経つうちに栽培がかなりうまくなっているというのはよくある話です。

ということは。
5年前に●●農園さんから野菜を取り寄せてみたけど、量が少なかったし品質もそれほどじゃなかった。
という苦い経験があなたにあったとして、もし5年経った今また野菜を取り寄せてみたら
今度は量も品質も大満足!
という可能性があるということになります。

ひとつの農家と長く付き合ってみて初めて見えてくる世界もある。
今回はそんな話です。

 

松本自然農園の10年

私は今のところ10年くらい農業という仕事をさせてもらっています。
たった10年ですがいろんな経験をさせてもらいました。

農業を始めて最初のころは金銭的に苦しかったので、他に仕事をしながら早朝と土日に農作業をしていました。
平日の昼間は普通にスーツを着てサラリーマン。
平日の早朝と土日は作業着で畑仕事。
そんな生活でした。
1年目はアパートに住んでいて畑から遠かったので、苗を育てる場所に困りました。
1日に何回も様子を見なければいけないので住居の近くがベストですが、アパートなので庭なんてありません。

軽トラック育苗

どうしても苗を育てる場所を確保できず、しかたなく軽トラックの荷台を使っていたという苦い思い出があります。

1年目はまだまだ栽培が未熟で、思ったように野菜が育ってくれないことが多かったように記憶しています。
ものすごくたくさん育てて、そのなかからうまく育った一部をお届けするという感じでした。
大根やニンジンはいつも二股かそれ以上のたこ足、小松菜や水菜などは虫食いが多かったり市販のサイズよりも小さくて硬かったり。
トマト・ナス・ピーマンなどの夏野菜は、お盆が過ぎた頃には収穫量が落ち込んでしまい、短い期間しかお届けできなかったり。
とにかく今からは考えられないようなお粗末な栽培をしていましたし、そこから採れる野菜もたいしたものではありませんでした。
だから。
ご購入いただいたお客様からお叱りのメールをいただくこともありました。
代金をお支払いいただけなかったこともありました。
農業を始めたばかりの最初の数年は、一人前とは程遠い未熟な農家だったと思います。

そんな未熟な農家でも成長するものです。
3年、5年と経験を積んでいくうちに、どんどん栽培がうまくなっていきました。
育てた野菜を、満足のいく品質でお届けできるようになっていきました。
10年が過ぎた今でも失敗はありますし、虫食いの野菜をお届けしてしまうことはありますが、日々成長を続けているので5年後10年後には今よりもっと素晴らしいものをお届けできるようになっているはずです。

 

このような経緯は。
世間に対して、お客様に対して全てを公開して話をしたわけではありませんので、野菜を長くご購入していただいているお客様でも知らないことはたくさんあります。
でも。
受けとる野菜の変化は感じとることができているはずです。
10年前の野菜と5年前の野菜。
5年前の野菜と今の野菜。
明らかな変化を実感することができていると思います。
その変化は、松本自然農園の成長そのもの。
ひとつの農家から長く野菜を購入していると、その農家の成長を野菜を通じて感じることができるんです。

 

年単位で農家直送野菜を楽しむ

農家から野菜を定期的に取り寄せているときには、季節の移り変わりはもちろん年ごとの変化を楽しむことができます。

去年は長さ20cmくらいの一般的な小松菜が届いてたのに、今年のは30cm越えのビックリサイズの小松菜が届いた。
栽培の仕方を変えたのかな。
それとも育てている土がよくなったのかな。

虫食い野菜が当たり前のように届いていた3年前が嘘のように、最近は虫食いを探すほうが難しいくらいの野菜が届くようになった。
品質が目に見えて上がったなぁ。
がんばって育てられているんだろうな。

去年は今くらいの時期にエンドウが届いたのに今年はまったく来ないなぁ。
もしかして今年はエンドウの栽培に失敗したのかな?

長く同じ農家から野菜を購入していると、前年からの変化を楽しむことができます。
これは。
スーパーなどの小売店ではなかなか体験できないことです。
規格がしっかりしている大手食品宅配会社でも難しいかもしれません。

畑で採れたものを、そのまんまの状態でお届けしている小さな農家から買えばこそ味わえる特権です。

 

いいものを手に入れるのは難しい

もし。
そんな変化はいいから、とにかく高品質で安全性も問題なく味もすばらしい、そんな野菜が欲しい。
野菜セットを定期購入するなら、毎回安定して高品質のものが届いてほしい。

と思われるなら。
10年20年と長く続けている農家、いろんな人があそこのはいいよとクチコミされている農家を探すといいでしょう。
ただし。
長く続けている農家は、すでに長く購入されているお客様がしっかり定着してしまっていることが多いため、新しくお客様を募集してないかもしれないことを覚えておいてください。

路上ライブ

たとえば。
ゆずやコブクロのように路上ライブからメジャーに上がっていったミュージシャンを想像してみてください。

路上ライブを重ねながら実力をつけているころは、目の前で生歌を聴くことができます。
世間に評価されていないので、知名度はほとんどありません。
だから。
サインをもらうことだって、握手をすることだって、世間話をすることだってできます。
でも。
メジャデビューして日本武道館でコンサートを開くまでに成長してから、ファンになりチケットを取ろうと思っても、すでに熱狂的ファンがついているので最前列席をとることも手が届くような距離で歌を聴くこともできません。
彼らにお近づきになること自体が難しいんです。

野菜を定期宅配している農家は、これに近いところがあります。
農業を始めたばかりで、まだ世間に知られていないころの農家に定期宅配を申し込めば、よほどの事情がなければ快く受け入れてもらえます。
でも15年20年と長く続けている農家に定期宅配を申し込んだとしたら、もうすでに定員に達していて募集すらしていないことがあります。
熱狂的ファンがいてチケットを取れない状態ですね。

いいものを手に入れるのは、なかなか難しいということです。

ゆずやコブクロを発掘する気分で、農業を始めたばかりの若い農家から野菜を買ってみるのもおもしろいと思います。

参考になれば幸いです。

 

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