天然農薬と合成農薬とでは、そもそも比較対象にならない

無農薬野菜のほうが危険!
という話を聞いたことがあるでしょうか。

野菜には自己防衛能力があって、葉を虫に食べられたりすると身を守ろうとして農薬のような物質をつくりだすことができる。
その物質は、科学的に合成された農薬よりも毒性が強い。
だから無農薬野菜は危険だ。

という論理です。
このことについて、野菜の自己防衛能力については前回の記事で解説しました。
無農薬野菜なのに農薬の成分が含まれるって?
野生の植物に比べれば弱まっているけど、野菜も自己防衛のために農薬のような物質を体内に持っている。
という話でした。

今回は。
虫などに葉をかじられた野菜が、それ以上は食べられてなるものか!と自分を守るための物質を作り出す。
その物質が、農薬のようだという話について切り込んでいきます。
そうやって作りだされた農薬的な物質が危険なのかどうか。
人が虫食いで穴だらけの野菜を食べることで、農薬を口に入れたかのような危険性があるのかどうか。
気になりますよね?

安全だと思って食べていた無農薬の野菜がじつは危険だった!
なんて聞きたくないかもしれませんが、農薬の安全性を語る上では避けて通れません。
目をそむけずに、耳をふさがないで、最後までご覧ください。

 

天然農薬と合成農薬

まず大前提として、前回の記事でも書いたように
植物はもともと外敵から身を守るために農薬のような物質を体内に持っている。
虫に葉を食べられたりすると、防衛のために農薬のような物質をつくりだす能力もある。

ということを覚えておいてください。
これを天然農薬と呼びます。
対して、一般的に用いられている皆さんが毛嫌いしている農薬は、ここでは合成農薬と呼ぶことにします。

天然農薬と合成農薬。
科学的にみれば同じような成分なのでどちらも農薬と呼んでいますが、よくよく考えてみると比較にならないほど大きな違いがあるんです。

マスクとウイルス
(画像参照:日高病院 腎臓病教室
天然農薬は、野菜がもともと持っている能力です。
外敵から身を守るために備わっている力です。
人に例えると分かりやすいのですが、この能力は免疫力のようなものです。
風邪をひいたり、麻疹(はしか)にかかったりすると、その病気に対する免疫ができますよね。
同じ型の病気であれば二度とかからない、免疫とはそのようなものです。
私たちが病気から身を守るために備えている大切な能力です。


これに対して合成農薬は、野菜自身の能力とは関係なく外敵から身を守る力を指します。
風邪をひかないようにマスクをしたり、かかった病気を治すために薬を飲んだり、その人自身の能力ではない他のなにかに頼って病気から守ったり闘ったりする、サポートアイテムのようなものです。


天然農薬 = 免疫力
合成農薬 = サポートアイテム
指しているものがまったく違います。
どちらがいいとか悪いとかではなく、そもそも比較対象にならないんです。

天然農薬が危険だというのは、免疫力が高い人は野蛮でカッコ悪いと言っているようなものです。
天然農薬のほうが合成農薬よりも危険だというのは、マスクや風邪薬にくらべると免疫力では病気を防ぐ力が弱いと言っているようなものです。

野菜が病虫害に遭ったとき農薬のような物質を作り出すことについて、その危険性を議論すること自体がおかしなことだと、免疫力の例えから分かってもらえたでしょうか。

ちなみに。
天然農薬の安全性について一応書いておくと。
ごくかんたんに言ってしまえば、あんまり気にしなくても大丈夫です。
重箱の隅をつついたら発がん性がどうのこうのという危険性が見えてきた、そのくらいのレベルの話です。
重箱を大きく見渡せば、けっして危険だと言えるほどの怖さはありません。

 

無農薬での栽培技術はどんどん進歩している

そもそも。
無農薬野菜 = 虫食い
というイメージは現代では通用しなくなってきています。
一部の超優秀な有機農家が、無農薬での栽培技術をどんどん確立させていっているので、そのことが有機農業全体のレベルアップにつながり、今では虫食いなく健康的な野菜を育てることができる農家はかなり増えてきました。
慣行農業だからとか有機農業だからとか、栽培のしかたが違うから虫食いの多少に差が出るのではありません。
個々の農家の能力次第なんです。
野菜の免疫力(天然農薬)を高めつつ、そこに頼らなくても病気にならない生活を送れるように環境を整えてあげる、そういう農家の手にかかれば健康的で美味しい、文句のつけようがない野菜が出来上がります。
マスクや医薬品(合成農薬)に頼らなくても、野菜自身の免疫力だけで外敵から身を守っていくことができるようになります。
すべては農家次第です。

だからこそ。
有機農家は野菜が健康の育つためにはどうしたらいいのかを常に考えているし、そのための最善策をあれこれ試しながら最高の野菜をみなさんにお届けするためにがんばっているんです。
有機農家じゃなくても、野菜の健康を第一に考えている農家はたくさんいるんです。
そのうち、「虫食い野菜ってなに?」というくらいまで栽培技術がレベルアップすれば

無農薬野菜こそ危険だ

なんて言われなくなるんだろうなぁ。
そんな時代が来ることを楽しみに、今回の話を締めたいと思います。
少しでも参考になれば幸いです。

 

 

 

 

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