有機野菜と無農薬野菜の違い

有機野菜
無農薬野菜

この2つの違いがわかりますか?
農業者にとっては常識とも言える違いなんですが、一般的には知っているようで知らない言葉なのかもしれません。
この違いを知っていると農家のホームページめぐりが楽しくなることまちがいなし!
ぜひ最後までご覧ください。

 

有機野菜とはなにか

まず有機野菜について説明していきます。
有機野菜という名称は、 国(農林水産省)の法律”有機JAS法”というもので表示が制限されています。
有機JAS法の基準を満たしていなければ、有機野菜と表示して売ることができないということです。
ということは逆にいえば、有機JAS法の内容を知れば、有機野菜がどういうものなのかが分かるわけです。
まずは、農林水産省のホームページに掲載されている有機JAS法の内容について・・・・書いてしまうとけっこうなボリュームになってしまいますのでやめておきます。
ごくごく簡単に、ある程度要約すると下記のようになります。

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【有機JAS法】
化学農薬、化学肥料および化学土壌改良材を使用しないで栽培された農産物、および必要最小限の使用が認められる化学資材を使用する栽培により生産された農産物で、化学資材の使用を中止してから3年以上を経過し、堆肥等による土づくりを行なったほ場で収穫されたもの。
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まだ分かりにくいですね。
もっとかみ砕いて書きます。
農薬や化学肥料を3年以上使っていない畑で収穫されたもの。
ただし法律で認めている農薬もあります。

これくらい訳すとようやく分かってきます。
かなりざっくり訳しているので細かい条件は反映されていませんが今回は気にしないでください。

さて有機JAS法がなんとなくわかったところで話を進めます。
上記のような条件を満たした野菜だけが有機野菜と名乗ることができるわけです。
arrow070_01農薬については「無農薬栽培の本質は野菜と正面から向かい合う姿勢
arrow070_01化学肥料については「腸内と土の中は似ている
そして、商品を梱包している袋などに

JASマーク

このようなマークをつけることを認めてもらえるんです。
だから、有機JASマークが貼られている野菜であれば、基本的に農薬や化学肥料を使っていない野菜であると保証されているということです。

 

無農薬野菜とはなにか

有機野菜という言葉と並んでよく言われている表現が無農薬野菜です。
これについては説明するまでもなく、農薬を使わないで育てられている野菜のことです。
単純明快ですが化学肥料についてはとくに定義されていませんので、もしかしたら使っているという可能性があります。
でも。
よく、農家のホームページなどで無農薬野菜という表現が使われますが、野菜セットを販売しているような個人の農家のほとんどはおそらく化学肥料を使用していません。
有機JASで許されている特定の農薬すら使っていないことが多いです。
完全な無農薬・無化学肥料の野菜だといえます。
だからそういう意味では
有機野菜です!
と謳っても本来は問題なさそうなものですが、国の法律でJAS規格から認定を受けていない野菜に「有機野菜」と表示してはいけません、と言っているので黙っているんです。

JASラベル

一昔前は、有機減農薬とか有機低農薬とかよくわからないけどなんとなくよさそうな名称で有機野菜が販売されていた時期がありました。
それじゃいかん!ということで法律(有機JAS法)を作って表記に基準を設けたんです。
だから。
そういう意味では有機JAS認定を受けていないのに

有機野菜です!

と堂々と言ってしまうのはどうかなと思うところはあります(もちろん罰則ありますし)。
農家はこのことを知っているので、栽培の基準だけみれば有機野菜なんだけどJAS認定されていないから「無農薬野菜です」と謳っているわけです。
まあ厳密にいえば、無農薬野菜という表現も本当はダメなんです。
有機野菜でもなく、農薬や化学肥料を使った一般的な栽培でもなく、減農薬だったり無農薬だったりする特別な栽培で育てられたものは

特別栽培農産物

と呼びなさいと国が言っています。
こちらは法律ではなくガイドラインなので、もし破ったとしても罰則はありません。
しかも。
特別栽培農産物なんていう呼び方を知っている人はほとんどいません。
世の中に浸透していない名称を使っても売れないので、農家は
無農薬野菜です
と言うしかないという苦しい事情があります。

 

表記の違いから農家を探す

スマホ女性
もし興味がおありでしたら、いくつかの定期宅配有機農家ホームページを閲覧してみてください。
有機野菜と堂々と表現している農家もいますし、遠慮がちに無農薬野菜と言っている農家もいます。
有機野菜とは書かずに無農薬・無化学肥料の野菜という表現をしている農家もいます。
実際はどの農家の野菜も、似たような基準で栽培されているんですよ。
安全基準にばらつきが出るほどそんなに大差はありません。
なにが違うかというと
自分の野菜を誰に食べてほしいと思っているか
なんです。

有機野菜と書く農家は、有機野菜というイメージを好意的にとらえている人に食べてほしい。
無農薬野菜と謳う農家は、農薬に対して嫌悪感を持っている人に食べてほしい。
無化学肥料とまで書いちゃう農家は、栽培のこだわりを理解してくれる人に食べてほしい。

とまあ、ざっくりといえばこのような傾向があると思います。

これを基準に農家を選ぶということはないでしょうけど、表現の違いを気にしながらホームページを見ていくとなかなか楽しいですよ。
 

 

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