見た目は誰からも同じ評価 味は食べる人によって評価が違う

スーパーでずらーっと並べられた果物や野菜たち。
人間にも個性・個体差があるように、大きいものや小さいもの、まっすぐなものやクルクルと曲がっているもの、自然なばらつきがあってもおかしくないのにほとんどが同じサイズで同じ形。
工業製品かよ!
と突っ込みたくなるくらい揃っています。

これは食べる側の希望であり、その希望に応えるために生産者がしている努力の結晶です。
見た目がきれいなものを手に取ってしまう。
大きくて形が整っているものを買いたい。
曲がったものとまっすぐなものが並んでいたらまっすぐなものを選ぶ。
みなさんはどうでしょうか。
同じ値段だったら見た目を重視して選びませんか?
これがいいとか悪いとかそういうことではなくて、本能に近いくらいの感覚で見た目を基準に選びませんか?
おそらくそれが普通の反応です。

というように。
見た目を第一に考えなければならない状況なので、スーパーも流通も生産者も、それに応えるように野菜を変化させてきました。
スーパーが消費者の要望をくみ取り、流通が要望に合わせて規格をつくり、生産者がその規格を形にしていく。
消費者の要望に応え、売れるための努力をしてきました。

これ自体は悪いことではありません。
ちょっと行きすぎたかなと感じるところもあるので、もしかしたら無駄にコストをかけてしまっているかもしれませんが、ある程度の規格があって商品が揃っているのは消費・小売・流通・生産それぞれの立場でメリットになることが多いです。


でも。
野菜は見た目じゃなくて美味しさで選びたい。
そう考える人も少なくないはずです。
見た目を揃えたりきれいにしたりするよりも、とにかく美味しいものを並べてほしい。
そう思いますよね。

気持ちはわかるんですが、これは難しいです。
なぜなら、美味しさの基準はひとそれぞれ違うから。
見た目が揃っている、きれいという基準ははっきりしています。
規格化できるもの、基準がはっきりしているものは評価しやすいんですが、基準がはっきりしないものは評価できないんです。

 

美人と可愛い イケメンとかっこいい

三角関係
ある男性Aさんが、友人(男性)Bさんを知り合いの女性Cさんに紹介するときに、
Bさんはすっごいイケメンだから
といって紹介するとします。
その友人Bさんと知り合いの女性Cさんが初めて対面したときのCさんの感想は、
おおっ、イケメンだ!
なんです。
イケメンのとらえかたに多少の誤差はありますが、CさんはBさんのことをおおむねイケメンだと感じるはずです。

ところが。
同じように、ある男性Aさんがが友人(男性)Bさんを知り合いの女性Cさんに紹介するときに、
Bさんすっごいかっこいいから
といって紹介するとします。
その友人Bさんと知り合いの女性Cさんが初めて対面したときのCさんの感想は、
おおっ、たしかにかっこいい!
とならないことが多いんです。
AさんはBさんのことをかっこいいと思っているけど、Cさんはそうは思わない。
この場合はそういう価値観のずれが生じています。

こういったことってよくありませんか?
私は男性なので、女性が女性の友人を紹介するときには、このような基準のずれを感じることが非常によくあります。
可愛いって紹介されたけど、うむ~・・・。
という現象です。
「イケメン」「かっこいい」に相当する表現は、女性を評価するときの表現だと「美人」「可愛い」かなと思いますが、あなたが男性だとしてこのような価値観のずれに出会ったことはありませんか?
可愛いと言われて紹介されたのになんだか違った。
美人だと言われて紹介されたらやっぱり美人だった。
というようなことです。


なぜこんなことが起きるかというと
可愛い・かっこいいという基準が人それぞれ違うから。
ということに加えて、外見だけでなく内面的なところも含んだ表現だから、と言えます。
外見以外の要素が加味されるから、人それぞれの判断基準が違うということです。
さきほどのイケメンの例でAさんとCさんがお互いにBさんのことをイケメンだと感じたのは、
イケメンという基準はだいたい同じだから。
美人は、誰が見てもたいてい美人だから。
ということが言えますが、そこには外見的な要素しか含まれていません
人それぞれの好みの差こそありますが、ひとつの要素のみで判断するのであればその基準の幅はそれほど広くなりません。

 

見た目と味

野菜についても同じことが言えるんです。
見た目がきれい、形が整っているというのは美人・イケメンであり、誰が見てもだいたい同じような評価がされます。
ところが美味しいという基準は、可愛い・かっこいいといった人による評価の幅が広いのと同様に、食べる人によって美味しいと感じる基準が非常に幅広いんです。
とにかく濃い、舌にまとわりつくような濃厚な味が好みの人もいれば、生命力を感じられるようなあっさりとしながらも青臭さがある味が好みの人もいる。
美味しさの好みはばらばらです。
可愛い・かっこいいという表現が内面的な要素を含むように、味についての評価は目に見えない内面的な要素であるからこそ、人によって評価基準がばらばらなんです。

だからこそ。
スーパーが店頭に野菜を並べるときには、人によって評価がちがう味覚という価値に合わせて商品を揃えるよりも、評価基準がはっきりしている見た目を揃えることで、たくさん買ってもらおうとするんです。


それでは、美味しい野菜を食べたいと思ったらどうすればいいのか。
答えはひとつしかありません。
自分で探す。
これだけです。
だって味の評価は人によってちがうんですから、自分の好みは自分にしかわかりません。
あなた好みの容姿・性格の彼氏や彼女を捜し出そうとすれば、あなた自身ががんばって探し出すしかないんです。
難しそうな野菜探しですが、ひとつ言えるのは
大衆向けに作られている野菜ではマッチしない
ということでしょうか。
あなたにベストマッチした野菜を探すには、ファミリーレストラン的な大手業者ではなく個人の小さな農家を見つけ出す必要があります。
具体的な探し方については
無農薬野菜はどこで買うべきか
というカテゴリーのなかでいくつか記事を書いているので参考にしてみてください。

 

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