農家探しの旅(番外編) 農家の気持ちに寄り添ってみる

インターネットで検索をして、自分に合った農家を探すときには
まずは自分が無農薬野菜を購入する目的を明確にする
つぎにそのキーワードを駆使してインターネット検索してみる
という流れをご紹介しました。

相性のよい有機農家を探すコツ

有機農家を探し出す具体的な方法

でも。
肝心の農家がうまく情報発信できていないため、しっかりと売ることまで考えた商売上手な農家しか見つけることができないという現状があります。
そこで今回は。
買う側がちょっとがんばってみる。
情報発信が苦手な、不器用な農家に寄り添うような形で、農家目線に立って野菜を探してみることで出会いたい農家に出会える。
という話をします。
自分と相性がよい農家を探すための、ちょっと高度なテクニックになります。
ぜひ最後までご覧ください。

農家は栽培のことばかり考えている

定植の様子

農家というのは基本的に栽培バカです。
野菜と向き合い、土と向き合い、よりよいものを育てられるように朝から晩まで栽培のことばかりを考えています。
人とかかわっているよりも植物とかかわっているほうが楽しい、そのほうがストレスなく生きられる。
というような人も多いです。
農家というのは自営業、商売なんだという自覚があまりなくて、そのせいで売る行為について真剣に考えていません。
だから広告や宣伝もしないで、ひたすら畑に出て野菜とたわむれている。
自分のことを世の中に発信しないんです。
みなさんのすぐ近くで無農薬野菜が育てられていたとしても、その存在に気づくのが難しいのはそのためです。

農法にもこだわっている

そして栽培の方法にかなりのこだわりを持っています。
自然栽培という言葉は、奇跡のりんごで知られる木村秋則さんのおかげで世間にだいぶ知られるようになりましたが、自然栽培というような栽培のこだわりを形にした
●●農法、●●栽培
は、みなさんが思っている以上に数多く存在しています。
自然農法の理念、理想を追求して、耕さず肥料も入れず作物が健康に育つように人が最低限の手助けをする。
野菜を育てるときにもっとも重要なのはカルシウムがしっかりと土にあること、だから植物由来の堆肥をつくってそれを畑に投入すべきだという循環農法。

このような農法は、わりと世に広まっているものだけをみても日本には少なくとも10、20くらいはあります。
細かく見ていけばもっともっとあると思います。

そして。
自然農法で野菜を育てています。
自然栽培で育てた、野菜本来が持っている味を再現します。

という売り文句の農家、けっこうたくさんいます。
ナントカ農法の理念や理想に影響をうけた農家が、それを真似して自分でも同じように素晴らしい野菜をつくりたくて、ナントカ農法を名乗って栽培をします。
そのこだわりは強烈ですよ。
栽培の勉強会なんて各地で頻繁に開催されていますし、畑の見学会を開いて農家同士があれこれ栽培について討論をしたりします。
とにかく栽培にこだわると同時に、農法への思い入れが強い。
それが農家という存在です。

専門用語を知り、それを含めて検索してみる

専門用語ばかり

このように。
農家は栽培のことばかりを考えているので、あまりみなさんのほうに意識が向いていません。
と言うと表現がよくないですが、食べてくれる人のことを考えるよりも素晴らしい野菜を育てることを考えている。
寝ても覚めても栽培、栽培、栽培。
とにかく栽培が大好きで、栽培で頭がいっぱいなんです。

だから。
そんな農家がインターネットを使ってブログを立ち上げて情報発信をしたとしても、そこに書かれている内容は栽培に関することばかりになってしまいます。

畑に入れる肥料について、量がどうだとか種類がどうだとか。
トラクターで耕すときのロータリの回転速度がどうだとか耕す深さがどうだとか。
こんな病気が出たときにはどのように対処して、この虫にはこんな対策が有効だとか。

そのようなことを、専門用語をバシバシ使いながら日記を書いています。

みなさんがそんな日記を見ても、たぶんつまらないし興味がわかないと思います。
専門用語だらけで気持ちよく読めませんし、読んでいても内容が頭に入ってきません。
ほとんどの場合、
農業者同士で意見交換をしたくて書いているのかな?
と思ってしまうような日記なんです。

とはいえ。
農家はそんな栽培日誌であれば、けっこう情報発信をしているんです。
栽培のことや農家自身の日常のことを書いたブログであれば、探せばけっこう見つかるんです。
だから。
自分と相性がよい有機農家をなかなか見つけることができない、インターネットで検索してもなかなか出てこない、という場合には。
専門用語を駆使した農家ブログを探してみるという方法があります。

たとえば。
定植、育苗、除草、耕耘、畝立て
といった用語を、検索するときの単語として含めてみる。
自然農法、自然栽培、炭素循環農法
といった農法に関する単語を含めてみる。

農家ブログを見つけるために、あえて専門用語を使って検索してみるんです。
自然栽培 豊田市 宅配 不耕起
とか。
自然農法 愛知 販売 播種
とか。

このような検索の仕方は、本来であれば消費者であるみなさんが検索するキーワードではありません。
どちらかといえば栽培をする側、農業者が検索に使うキーワードなんです。
でもあえてそれをしてみる。
農家が農業者同士の意見交換ブログを書いているなら、そのブログを探すために専門用語を含めて検索をしてみるということです。

このような検索は、おそらくみなさんにとって非常にハードルが高いです。
専門用語を知りませんから。
でも、この検索によってかなり多くの農家ブログが見つかります。
この野菜が買いたいと思えるような素晴らしい農家に出会える可能性が広がります。

ちなみに。
検索で有効だと思われる専門用語をいちおう並べておきます。
意味がわからなくても検索キーワードに含めてみることをお勧めします。
播種、定植、育苗、不耕起、無肥料、除草、畝立て、誘引
自然農法、自然栽培、炭素循環農法、天然農法、自然農

農家を見つけて記事を斜め読み、直感で判断する

農家ブログが見つかったとして。
いくつか気になるブログに目を通していくと思います。
でも。
その文章はガチガチの農業者目線なので、まじめに読んでいると頭が痛くなってくるはずです。
みなさんに向けて書かれていませんから。

そういう記事を必死になって読む必要はありません。
いわゆる斜め読み、内容をしっかりと把握するというよりは全体をなんとなく把握できればいい。
もしくは内容を把握する必要はないと思います。

内容ではなく、人柄や想い。
それを書いている農家がどんな人物なのか。
どれくらい真剣に野菜と向き合っていて、どれくらい熱い想いで野菜を育てているのか。
人柄や性格がなんとなく読みとれたらいいんです。
直感で判断する、といってもいいかもしれません。

今回ご紹介した農家の探し方は。
かなり高度でハードルが高いと思います。
農家ブログが見つかったとしても、そこから読み取れる情報は未知数。
野菜の購入につながるかどうかすら分かりません。
でも。
世の中には知らない農家がものすごくいるんだということを知ることができます。
問い合わせができるならアポイントをとって会ってみて、気にいればそこで購入すればいいし気にいらなければ知り合いの農家を紹介してもらって、農家ネットワークを渡り歩きながら気に入る農家を探していくこともできます。

一度、専門用語を駆使して検索してみるといかがでしょうか。

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