無農薬野菜はどこで買うべきかシリーズの7回目です。
いよいよ味について書いていきます。

前回までの記事
有機野菜や無農薬野菜はどこで買うべきか その1
有機野菜や無農薬野菜はどこで買うべきか その2 安全性 
有機野菜や無農薬野菜はどこで買うべきか その3 価格
有機野菜や無農薬野菜はどこで買うべきか その4 鮮度
有機野菜や無農薬野菜はどこで買うべきか その5 品質
有機野菜や無農薬野菜はどこで買うべきか その6 透明性

美味しさ7つの要素
野菜の味を決める要素はいくつかあって、一般的には無農薬だから美味しい、つまり
無農薬=美味
みたいな数式がまかり通っているようですが、実際はそんなに単純なものではありませんし
無農薬 ≠ 美味
ということも多々あります。

意外に知られていないことですが、野菜の美味しさは
「鮮度・旬・栽培・品種」
で決まります。
この4点は生産者側に起因する要素、つまり野菜を育てる人が関われる部分です。

  1. 鮮度
    ほとんどの野菜は収穫直後がもっとも美味しいです。
    あいだに業者を通さないで農家から直接家庭へお届けするということが、結果として新鮮さを高めることになります。
    野菜の美味しさを際立たせる一番大事な要素です。
     

  2. 季節にあわせて無理なく育てることで、健康かつ栄養価の高い野菜に育ちます。
    夏に育てられたホウレンソウは美味しくありませんし、冬のトマトも同様です。
    季節を外して無理やり育てた野菜は、食べても体が喜ばないことが多いです。
     
  3. 栽培
    無農薬かどうかも含めて、野菜が健康に育つことを最重要課題とした栽培方法は味に影響します。
    たんに無農薬だから美味しいというよりも、農薬に頼らない栽培をすることで、病気や虫害を発生さないためにどうしたらいいか野菜をよく観察することにつながり、結果的に美味しさに結びつくのだと考えています。
     
  4. 品種
    病気に強くて形が揃うなど生産者の都合ではなく、輸送の衝撃に耐えられて見栄えが良いなど流通・小売の都合でもなく、美味しさを第一に求めた品種があります。
     

それぞれの項目についての詳しい説明はまたの機会にすることにしますが、この上記4点を数多く満たしたときに美味しさが際立つ、ということができます。
つまりこの4点は、たとえば各25点ずつ持っていて合計で100点になるという積み上げ式なんです。
いくら栽培にこだわっていても新鮮じゃなかったら味は落ちてしまいますし、いくら美味しい品種を使っていても栽培がへたくそだとせっかくの美味しさを損ねてしまいます。
100点をとりたいと思ったら、
美味しい品種を使い、旬の時期に育て、栽培にこだわって、新鮮なうちに消費者へ届ける
という形を高いレベルで追及する必要があります。

どこから買う7

 

無農薬栽培農家の強みとは

そして、これを実現できるのが家庭向けに直接野菜セットをお届けしているような小さな有機農家なんです。
あいだに仲介する業者がなく生産者から消費者へ直接お届けできることは新鮮さに直結します。
虫に食われたり病気にかかったりするのを農薬で防ぐことができない有機農家は、野菜にとって無理なく育ちやすい旬の季節にあわせて栽培をするしかありません。
つまり自然と旬に合わせることになります。
そして、農家によってばらつきはありますが、有機農家は非常に勉強熱心で栽培にそれぞれのこだわりを持って取り組んでいるので、全体として野菜が健康に育つための努力をしていると言えます。
品種については個々の農家チョイスによるのでなんともいえませんが、味を重視する品種選びをすることができる、という自由な選択権を持っていることは強みです。
少なくとも市場や流通・小売業の都合で品種を決めることはありません。

 

直売所や大手宅配業者も負けてはいません

このように見ていくと地域の直売所・朝市でも、とくに新鮮さが際立つので美味しい野菜を買える可能性は高いですが、家庭菜園レベルで出品している農家が混じっていると栽培や品種選びの点でどうしても不安がつきまといます。
見た目を気にするあまり肥料を入れすぎたり美味しさそっちのけの品種を使ったりしますから。
勉強熱心なレベルの高い農家もいれば、これはやばいでしょレベルの農家もいる、という博打(ばくち)の要素が強い気がします。

大手宅配業者の場合、野菜の品質や味に関してどういったものが求められているのかを把握したうえで、農家にそれを伝えているのであればかなり高い評価になります。
たくさんの種類を育てている小さな有機農家は、ひとつひとつの野菜をとってみれば、それを専門に育てている野菜農家の栽培技術には遠く及びません。
だからその野菜を得意とする農家から集めた野菜をセットにしているというのは超プラスです。
マイナスなのは鮮度の点でしょうかね。

 

さらに加わる味へのスパイス

このほかに、野菜の美味しさが消費者側に、つまりあなたに起因する要素が3つあります。
「環境・味覚・思い込み」
この3点は消費者側に起因する要素、野菜を食べる人が関われる部分です。

  1. 環境
    同じ料理でも食べる空間・演出によって感じる味が変わってきます。
    暑い夏にキャンプ場でバーベキューをして食べる野菜はたいへん美味しいです。
    スーツやドレスを着て行くような高級レストランで召し上がる野菜は、シンプルな調理でもたいへん美味しく感じられます。
     
  2. 味覚
    レストランのシェフや小さな子どもは味覚が鋭いですね。
    うちの子どもの話になってしまいますが、収穫がはじまったばかりの瑞々しい野菜はおかわりを要求するほどよく食べます。
    ところが収穫適期を過ぎてしまった(けれども食べるには問題ない)野菜は、美味しくないといって食べてくれないことがあります。
    そういう子どもの舌も満足させられるような野菜をお届けしたいと日々試行錯誤しています。
     
  3. 思い込み
    有機野菜だから美味しい、という思い込みは意外に重要な要素です。
    精神状態が体に与える影響はけっして小さくはないので、有機野菜を食べているんだという気持ちが美味しさを増幅させてくれるなら、こんなに幸せなことはありません。
    レストランで「美味しさへの3つのこだわり!」とか書いてある文章を読むと、なんだか3割増しくらいで美味しくなってくる気がしませんか?

 

無農薬=美味しい とは限らない

このように味を決定する要素というのは様々あって、これらが絡み合うことで評価が決まります。
7つの要素を足していくことで総合的な美味しさが決まります。
栽培にこだわっているんだけど、収穫から食卓へ並ぶまでに1週間かかってしまう。
寒い冬に暖房がきいていない凍える部屋で、体を冷やす効果があるキュウリを食べる。
本当に美味しい野菜に出会うためには、7つの要素のどれが欠けてもいけません。

無農薬だから美味しいわけではありません。
それをわかってください。
こんな意見は、無農薬で栽培している農家が言うから意味があるんです。
農薬を使っている農家が言っても「自分のことを正当化したいだけでしょ」と言われるのがオチです。
なんどでも言います。
無農薬だから美味しいわけではありません。
それに気付いてください。
お願いします。