定期宅配している有機農家には募集定員がある

本日、不本意ではありますが松本自然農園の野菜セット定期宅配の募集を休止させていただきました。
10年やってきて今回が初めてというわけではないのですが、せっかくホームページを訪れて
ここから野菜を買いたい!
と思っていただいても、御購入いただけないという状況はやはり心苦しいです。
もし御購入を検討されている方がいらっしゃいましたら申し訳ございません。
どのくらい先になるかわかりませんが、数ヵ月後か1年後か定員枠が空いてきましたらまた募集したいと思いますので首を長くしてお待ちください。

このような状況、つまり無農薬野菜セットを扱っている有機農家が定期宅配の募集をストップするのは、それほど珍しいことではありません。
その理由は非常にシンプルです。
発送できる野菜の量には限りがあるから。
単純にこれだけなんです。
工業製品とちがって農産物は、材料を仕入れて加工すればいくらでも生産できるというものではありません。
徹夜でラインを動かせば生産数が倍増するという工業のセオリーが農業では通用しないんです。
今日ハクサイのタネを播けば、みなさんにお届けできるのは約2ヶ月後です。
タネを播いてから収穫にたどりつくには一定の期間があり、24時間フル稼働したからといってその期間が短くなるというものではありません。
10月上旬に大根をお届けしたいから8月下旬にタネを播く。
11月から里芋をお届けしたいから5月に種芋を植えつける。
というふうに収穫する時期を想定しながらすべての野菜についてタネを播いていきます。
計画的なんです。
11月には毎週100個の野菜セットを発送したい、と考えてそのためにはどの野菜のタネをどれくらい播いたらいいのかを計算する。
ということをやっています。
    arrow070_01詳しくは「野菜セットが定期宅配で販売されている理由

だから、想定している発送数を超えるような注文数を受けることが出来ないんです。
そこを超えて無理に注文を受けてしまったら、野菜セットに詰め合わせる野菜の量が減ってしまうことになり、すでに定期的に御購入いただいているお客様に御迷惑がかかってしまいます。
それは避けたい。
今いるお客様を大事に考えているからこそ、定期宅配の募集には定員があるわけです。

そして、その定員枠は決して大きくありません。
野菜セットを発送している個人の農家は、たいてい小さな規模でやっているからです。
たまに従業員を雇うような形で法人化している農園も見られますが、ほとんどが家族経営の小さな農家です。
食べていただける方となるべく近い距離で、顔が見える関係を築くことができるのは小さい農家だからこそ。
そう考えている農家も多いです。
だから規模拡大しない、供給量が増えない。
そしてあっさりと「定期宅配締め切りました!」となってしまうんですね。
これはしょうがないです。

けれども。
新しく農業を始めたいと思っている若者はいます。
毎年数多くの有機農家が生まれています。
そんな農家がどんどん成長して、みなさんが買いたいと思えるようなクオリティの野菜を育てられるようになってきたら、買いたいのに締め切っていたなんてことは少なくなってくるでしょう。
時代が進むのを楽しみに待ちたいですね。

 

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