無農薬かどうかに関わらず、野菜の栽培は種をまけば収穫まで放っておいていいというものではありません。
発芽して大きくなってきたら虫に食われないように守ってあげなきゃいけなかったり、倒れないように支柱で支えてあげたり、草に負けそうになれば抜いて野菜が優勢になるように助けてあげたり、いろいろと手がかかります。
もちろん種をまけばおしまいという小松菜や水菜のような葉野菜もありますし、黒いビニールシートを敷いて草が生えないようにすればほとんど手がかからないこともあります。
でもそれらの処置は野菜を育てることの本質には触れていません。

その野菜が収穫まで辿り着けるだけの環境を整えてあげることが、農家としての役割であり栽培の核心・本質なので、種をまく段階ですでに半分以上やるべきことは済んでいるんです。

じゃあ環境を整えるとは具体的になにをすることか、というと
土を育てていくこと
もしくは土の物理性や化学性を整えること
と全然具体的な表現にならないですね。
もっと分かりやすくいえば、耕したり肥料を入れたりするということなんですが、その行為にパッと見てもわからないようないろんな思惑を込めてるので、ただ耕しているわけではないし適当に肥料を与えているわけでもありません。
というふうに、単純な行為にこそ奥深い思考が眠っているので、どうしても堅苦しくて回りくどい表現になってしまいます。

まあ、野菜を買ってくれるかた、食べてくれるかた、つまり松本自然農園のお客さまはそんな難しいことは気にしないで、
あーいろいろと考えて野菜を育ててるんだなあ
くらいに思ってもらえればいいんですよね。
それが農家としてしての僕の願い、松本さんに任せておけば大丈夫ね、状態なんです。
食べる人が、それは安全なのかしら?と不安になって自分で調べてみたり、できるだけ安全だと思われるものを高いお金を出して求めたり、そんなことをさせなきゃいけないこと自体が生産者としては少し恥ずかしい気持ちです。

食の安全というフレーズが出回るようになってずいぶん経ちますが、安全を気にしなきゃいけなくなった世の中ってどうなの?と思ってしまいます。
もちろん、松本自然農園の野菜が完璧に安全であるとは言い切れません。
肥料や農薬、タネや水や空気に至るまであらゆるものが安全であるかを確認することはほぼ不可能ですし、そもそもどこまでいったら安全なのかという基準すらあってないようなものです。
ようは人それぞれの価値観の問題。
その人が安心して食べられることが大事ではないかと。
この点からいえば
安全<安心
ということになりますね。

まあ安全も安心もどちらも大切なので、個人的な考え方としては
可能な限り安全を意識して野菜を育てる、その姿勢をお客さんに知ってもらうことで安心してもらう
というまとめになるかと思います。